復活!奇ッ怪編
~ ウソのような本当の話 ~
1 飛べない蚊

ある夏の夜のこと、一匹の蚊が人の血を求めてさまよい、ふと、ある家の庭先に飛び込んだ。その家は汚くて小さな家だったが、なぜか家の外までうまそうな匂いがただよっていた。

「見かけはちょっとみすぼらしいが、食べ物だけは大丈夫そうだ。今夜はここでメシにしよう!」

蚊は張り切って、だらしなく開け放たれた窓からその家の中に飛び込んだ。

その家には、デブの息子とトド体型のおっかさん、それにサンマのように細いおとっつぁんがいた。おとっつぁんの食卓にある物は、タコの刺身に枝豆に冷や奴、茄子とキュウリの浅漬け、それと瓶ビールである。肉も魚も嫌いなおっかさんは茄子としし唐の天ぷらを食べ、息子は焼き肉をてんこ盛りのご飯の上にのせて大口を開いて胃に流し込んでる。この家には家庭としてのメニューなどないようで、家族みんなが勝手に自分の好きな物を食べているのである。

蚊は迷った。一体どいつの血を吸ったら一番うまいのか。栄養のバランスだけを考えれば、おとっつぁんが一番よさそうな気がする。しかし、酒臭い。おっかさんはデブのくせして肉食ではない。菜食であることを考えると、この3人の中では一番血液がサラサラしていそうだが、太っているからには肉や魚は食べなくても生クリームや甘いものが大好きな可能性は大いにある。コレステロール値は高いに違いない。それでは、デブの息子はというと、いっそ肉ばっかり食っていそうだが、しかし中年以降はともかくも、今は若くて食べ盛りである。少なくともこの3人の中では新陳代謝が一番よさそうだ。
「よし、今夜はあの息子にしよう!」

蚊は息子の二の腕を狙って急降下した。そして、チクリと一撃。だが、息子は何も感じない。平気な顔をしてさらに飯を食っている。いやしさ丸出しの品のない食べ方である。しかし、蚊にとっては人間の上品下品は問題ではない。要は血がうまいかまずいかだけである。

果たして、食欲旺盛な息子の血にはコクがあった。蚊は満足した。
「今夜はなかなかいい血を吸った。明日もまたこの家に来よう!」
そして、蚊は飛び立とうとした。が、
「あれ?」
蚊は人間にはとうてい聞こえないような小さな声でつぶやいた。
「なんで飛べないんだ?」
パタパタパタ・・・。パタパタパタ・・・。蚊は何度も繰り返し羽を振ったが、身体が持ち上がらないのである。
「こんなの始めてだ。一体どうしたっていうんだ!」
蚊は焦った。だが、飛べない。そのうちに身体がやけに重く感じられてきた。蚊はただ単に若いからいいだろうぐらいの気持ちで息子を襲ったのだったが、実はそれが間違いだったのである。

この家に住むデブの息子にはおっかさん以来のデブのDNAがしっかりと刻み込まれている。もちろんその遺伝子情報は血液にも入っているわけだが、よりによって、息子のDNAのうち、身体が重くなる情報だけが蚊の小さな身体に入ってしまったのである。学校に全く行ったことのない蚊は、そこまでは思いつかなかった。しかしだからといって、このままここで撃沈してしまうわけにはいかない。たった一夏の命の思い出がこんなヤツの腕の上で消えてしまうとはあまりにもはかない。蚊は必死の思いで羽を振ると、ようやく息子の腕から飛び立つことができた。

「ああ、よかった」
と、思うまもなく、蚊はバランスを崩して墜落してしまった。落ちた先はおとっつぁんのスネの上だった。そして、ここから蚊のさらなる悲劇が始まった。おとっつぁんは毛深いオヤジである。特にスネの毛はふさふさしていて、蚊から見れば、それはまるでマングローブの密林なのだった。

「ううっ。一体どっちが西なんだ。クソッ、足が取られる・・・」
蚊は自分の細い足と薄い羽が、スネ毛のマングローブにどんどん絡みつかれるような気がして、今にも失神しそうだった。
と、その時だった。おとっつぁんのスネの毛穴から妙な臭いが吹き出してきた。人間にとっては吹き出すなどという感覚からはほど遠いくらいの微量な物だが、蚊にとっては事件である。そして、その妙な臭いの正体は、懐かしい昭和のビールの味そのもののコッテリした臭い、それは、おとっつぁんの身体からビールの成分が少しずつ抜け出して、汗に混じって蒸発し始めたものだったのである。蚊は九死に一生を得た。昭和系コッテリ臭素のおかげで、ついうっかり息子から吸い取ってしまった血液中の身体が重くなる遺伝子情報が弱まったのである。果たして、蚊の身体はわずかながらも宙に浮いた。

「う~ん、逃げるなら今だ。こんな所で死んでなるものか!」
蚊は必死でもだえた。

その時だった。おっかさんがおとっつぁんのスネ毛に絡まってパタパタしている蚊を見つけて笑いだした。
「あら、いやだ。おとうさんの足、毛深いから蚊が絡まってるじゃないの。あら、まあ、日本舞踊みたいだわ!オホホホホホ・・・」
おっかさんが笑った。そう言われておとっつぁんはようやく蚊の存在に気づき、
「あ、こんチクショー、おれの血吸いやがったな!」と、一気に蚊を叩き潰そうとした。しかし、おとっつぁんの手がスネに当たるが早いか、蚊はすうっと飛び上がり、おとっつぁんの顔の前をくるりと旋回した。目の前を、まるで人間をバカにするかのように飛び回る蚊に腹を立てたおとっつぁんは、蚊を手でつかんで握りつぶそうとした。しかし、間が悪かった。おとっつぁんのアルコール入り体臭のおかげで身体能力のよみがえった蚊は、おとっつぁんの手のひらをするりと抜けると、ふわぁっと窓の外へ飛んで行ってしまった。そして、この一家に小さな悲劇が起こった。蚊をつかみ損ねたおとっつぁんの手が、そのまま側にいたデブの息子の顔面を直撃したのである。
「いてえ。オヤジ、バカヤロー!」
と、息子は大声で痛がった。しかし、骨折したのはおとっつぁんのほうだった。

ところで、あの蚊はどうなったのだろう?九死に一生を得た蚊は、この家を二度と再び訪れることもなく、無事に一夏の生を終えたのだという。めでたし、めでたし!


2 鼻腔のトンネル

おやじには特技がある。いや、今はもう年を取って筋肉も固くなってきているから、特技が「あった」と過去形にしたほうが正確かもしれない。

おやじは中学生の頃、おっかさんのおっかさん、つまり祖母さんから鼻の穴から塩水を入れて口から出すことを教わった。これは一部の日本人には常套手段的風邪予防法である。やってみればわかることだが、鼻から入れるのが塩水だから全然痛くない。むしろすっきりとして気持ちがいいくらいである。しかし、これが真水だと大変である。小学生の頃にプールで鼻から水が入って痛かったという経験をお持ちの読者もあると思うが、真水だとあの痛みが来るのである。
だが、またしてもおやじは例外である。真水が鼻に入っても痛みを感じることはない。それどころか、あろう ことか、子供のころのおやじは、麺を1本鼻から口に通して遊んでいたのである。(まさかと思う読者はおやじ自身に聞いてみなされ。決して否定しないはずである。ただし、聞きすぎるとラーメンが食べられなくなる恐れもあるので、十分ご注意あれ!)

さて、ある日のことだった。おやじが学校をズル早退して家に帰ってくると、台所の小汚いテーブルの上に おやじの好物の『浜名湖名物、夜のお菓子うなぎパイ』が置いてあった。
おやじは喜んだ。
「イヒッ、食っちまえ!」
小学生の頃から「長町デラックス劇場がもっと健康的な所ならば自分も入ってみたい」と口走っていたおやじだけに、『夜のお菓子うなぎパイ』の名称にはかねてから何となく興味があった。だが、それ以上に小腹のすいていたおやじは、あっと言う間に箱に入っていたうなぎパイを全部たいらげ、そして満腹のあまり、そのまま台所の床の上に芋虫のように転げて寝入ってしまった。(※「長町デラックス劇場」とは、ある種の劇場の固有名詞である)

おやじは夢を見た。夢の中で、おやじは、行ったこともない浜名湖で、うなぎたちと一緒に楽しく泳いでいた。
と、その時、なぜか向こうから鯨が泳いできて、ガバッと水を吐いた。その水は破裂した水道管から水が溢れだすようにおやじたちのほうに押し寄せ、あっと言う間におやじもろともうなぎたちを飲み込んだ。一瞬の強い水の流れに翻弄され、おやじは頭が上に行ったり下に行ったりしながらもがいていたが、突如、何かが鼻につまった感じがした。
なにせ淡水を鼻から入れても痛くなく、それどころか誰よりも上手に口からその水を出してしまうおやじだから、おまけに体がぶよぶよしていて浮力も人より大きいわけだから、簡単にはおぼれるはずもないのだが、しかし、鼻がつまってしまってはどうにもならない。おやじの特技も役に立たないのである。
苦しくなったおやじは水の中で鼻のほうに手をやった。すると、何としたことか、うなぎが一匹、おやじの鼻の穴に頭を突っ込んでいたのである。もとよりうなぎにそんな意図があったはずもない。水の勢いに押されて、さらにはおやじの吸引力に負けて、ハマってしまっただけである。気の毒なのはうなぎのほうだった。おやじはそんな不運なうなぎの尻尾をつかんで引っ張りだそうとしたが、物を鼻から口へ流す術は心得ていても、逆に口から鼻へうまく流す術を習得していなかったために、うなぎを引っ張りだすのは容易なことではなかった。おやじは懸命に鼻腔の筋肉を動かしていたが、そのうち鼻の中がむずがゆくなり、水の中で思い切りくしゃみをした。
そして、目が覚めた。

おっかさんがコワイ顔をしておやじを見ていた。
「このバカ息子。またズル早退してきたな!」
おっかさんはおやじの顔にヤカンで水をかけていたのである。その水が鼻に入って、自然に口から抜けていた。
「おふくろ、おれを殺す気か!」
「何言ってんだ、このバカ息子。あんたを助けてやろうと思って水を入れてやってるんじゃないのっ!」
「何助けてんだよ」
と、おやじが言いかけた時、さっきから鼻の中でモソモソしていた物がポロンと口の中に落ちてきた。その時のおやじにはわけがわからなかったのだが、それは何とハエであり、おやじが「あ?」と思って口を開けたとたんに口の外に飛び出して、そのままどこかへ飛んで行ってしまった。

「わかったか、マサアキ。あんたがうなぎパイを食い散らかしてだらしなく寝てたから、ハエがたかってたんだよ。そのハエが、あんたの鼻の穴に入ったから、水入れて出してやったんじゃないか。このまぬけ!」
おっかさんはおやじの特技を知っていた。だから、鼻から水を入れるのがハエを追い出す最良の手段だと心得ていたわけである。

しかし・・、である。おっかさんはすっかり忘れているが、この、ハエを鼻から入れて口から出すという技の元祖は実はおっかさん自身にあったのだった。

少し前になるが、おっかさんが台所で食事の支度をしている時のことだった。ブ~ンと音を立ててハエがうるさく飛ぶので、包丁を持ったその手でハエを追い払っていたら、ハエが恐怖のあまりおっかさんの鼻の穴に逃げ込んでしまったのである。しかし、その時おっかさんは少しも慌てず、思い切り鼻から息を吸い込むと、口を大きく開いて今度は息を吐き出した。すると、ハエはうまい具合に外に飛び出し、命からがら逃げて行ったのだった。

おやじに不可解な体質および気質があるのは、行き着くところ、どれもこれも遺伝なのである。

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牛タン専門店 利久

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牛タン炭焼 利休 公式ホームページ

蒲鉾本舗 高政

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蒲鉾本舗 高政 公式ホームページ