五福星

～　Aっと驚く Vぃじゅある　～

おやじは、沖縄（特に石垣島）好きである。もう何度も沖縄へは行っている。では、なぜ沖縄が好きなのか。本人にとっても理由は定かではない。しかし、沖縄が好きなのである。そして、あろうことか、姑も沖縄が好きなのである。つまり、不幸なことに、おやじと姑とのたった一つの共通点が沖縄なのである。嗚呼゛～～～～･･･

こうして、おやじは五福星が現在地の新店舗に移る直前、かみさんと姑と３人で石垣島に旅行をしたのだった。なぜなら、新店舗にかかる金が足りないとき、借りるためには見せかけ親孝行を先にしておくのが得策とのおやじなりの浅はかかつ邪な思いがあってのことだったが、果たして、その旅行はおやじにとって針の筵となった。どういうふうに針の筵だったかと言えば、姑からはホテルを予約するならプール付きでなくてはならぬ（姑は仙台の水泳大会の老人部門で優勝したことがあるくらい泳ぎが得意である－これ、ホントの話）と要求され、おやじもやむなくそれに応じたのだ。つまり、予想外の出費があった。その結果、おやじは姑込みで３人部屋に泊まるはめになってしまった。これ、すなわち、予算内で収めるためにはおやじ自らが犠牲を払わなければならなかったということである。そして、その部屋のベッドがおやじとって針の筵そのものであったことは言うまでもない。

姑に下男同様にこき使われて、新店舗開店のために鋭気を養うつもりだったのが、ぼろぼろの千円札のようになってしまったおやじは、ある日、姑をかみさんに押しつけ、一人、竹富島へと向かった。なぜなら、おやじによく似た顔をしたシーサーたちがおやじを温かく迎えてくれるはずだったからである。しかし、世の中そんなに甘くはない。見た目の悪いおやじはシーサーから見ても見た目が悪かったのである。

おばあ
「おじい、今日はいい天気じゃねえ」
おじい
「そうさあ～、竹富島は平和でいいのさあ～」

シーサー
「ん？あれは何じゃ？」

別のシーサー
「どれじゃ？
お～、あれは前にも見たことがあるぞぉ」

おやじ、竹富島に上陸！

豚１「あれ前にも本土から来たヤツじゃない？」
豚２「何しに来たんだろう」
豚１「何度見ても見た目が悪いね。どうせハブの密猟かなんかしに来たに決まってるのさ～」
豚２「そうさね。確かに泥棒面してる･･･」

シーサーの大王
「喝！みんな何をしておる！
この島のためにならんヤツは撃退しろ！」

自衛隊豚
「それでは、わたしが鼻火ショット！」

野次シーサーズ「そんなんじゃだめさ～。あれ、あれがいいよ。そうだ、あれにしよう！」

秘密兵器！
かみさんレーザーショット！

おやじ
「な、なんでだべ？
なんでかあちゃんがこごさいんのや？
おまけに後ろさ婆さんいるでねえが！」

学研ムーの愛読者で恐妻家のおやじは、かみさんの背後に勝手に姑の姿を認め、慌てふためきながら竹富島を後にするのだった。

こうして石垣島にも竹富島にも再び平和が訪れたが、懲りないおやじは、島の芸術家に頼んでシーサーを特注し、五福星のトイレの前に自分の代わりに座らせることになったのである。これ、すなわち、ヤンバルクイナならぬフンバルシーサーである。（五福星にご来店の際にはトイレの入口付近をご覧ください。このようなモノが恥も外聞もなく鎮座しております。）

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